オオカミ専務との秘めごと
いつもの時間通りに出勤して、午前中の業務を終えた、午後の営業部内。
楢崎さんほか男子の営業はみんな第一会議室に入っていて、フロアは女子社員ばかりになっている。
先日仕上げたアンケートの集計が使用される会議で、主にオーガニックレストラン『ハイルング』各店舗の顧客満足度を中心に進めるものだ。
会議には営業一課だけでなく品質管理部と開発部も入っている。
三ヶ月に一度行われるこの会議で、新メニューについても議論される。
それに基づいて、開発部がメニュー開発に動くのだ。
「はいこれ、神崎さんお願いしまーす」
「はい?」
メールを作成していると、ドサッと、書類の束がデスクの上に置かれた。
その量の多さに目を丸くして見上げると、一年先輩の竹下さんが私を見下ろしていた。
「竹下さん、これは何ですか?」
「あら、見て分からないの?これ、全部チェックして、タイトルごとに分けて、ファイルに入れて書庫に仕舞ってきてほしいんですー」
「え、でも、これは竹下さんのお仕事ではないんですか?」
「そうなんだけどー。私、今、すっっっっっごぉく忙しくてー、それをする暇がないのー。神崎さん、いっっっっつも定時帰りでしょう?手すきの時間がたくさんありそうだから、頼もうかなーって、思って。このくらい出来るでしょう?」
竹下さんは、物事を頼むとは思えないほどの、ねっとりした言い方をする。