オオカミ専務との秘めごと
そういえば、いつも私の陰口を言っているというグループの中の一人だったっけ。
アンケートの集計も終わったし、できない量の仕事ではない。
だけど、本人のためにはバシッと跳ねつけるのが一番いいんだろう。
断ろうとして大きく息を吸い込んで口を開きかけると、隣からバシッとデスクを叩く音がした。
振り向くと佐奈が竹下さんを睨んでいる。
長谷部さんの時も思ったことだが、美人が怒るとものすごい迫力があって怖い。
けど、それに怯まない竹下さんの方がもっと怖い。
「あら、三倉さん、何か用なの?」
「竹下さん!お言葉ですが、菜緒は全然暇じゃありませんよ!自分の仕事は、自分で片付けるべきです」
「あーら、アンケートの集計は終わったんだから、時間はたーっっっっっぷりあるわよねー。ねー、神崎さん?」
集計がなくなった分、確かに空き時間はある。
「ああ、まあ、たっぷりではありませんが、一応」
ウソは言えないのでそう答えると、竹下さんは、ふふんと鼻を鳴らした。
「ほらー、神崎さんは暇みたいよ?」
「菜緒がみんなよりも時間があるのは、仕事の仕方が違うからなんです!」
睨みあう二人の視線がぶつかって、バチバチと火花が散りそうだ。