オオカミ専務との秘めごと

大神さんの車を見つけて、柱の陰に隠れて、忍者のようにひっそりと待つ。

何時に来るとも書いてなかったので、かなり待つことになるかもしれない。

時間つぶしにネットのニュースサイトを見て過ごすことにする。

すると、女子スポーツ選手の結婚報告会見がトップにあった。

ツーショットの写真は振り袖姿がとても綺麗で、相手の男性も背が高くてすごいイケメンだ。

幸せそうな笑顔が素敵で、こちらまで幸せな気持ちになる。


「いいな、お似合いだな・・・」


二人並んでしっくりするカップルは、相性がいいのかもしれない。

私はどんな人と相性がいいのかな。


「おい、そんなところで何を見てるんだ」


目を上げると、神々しいまでの雲上オーラを放つ大神さんが、少し不機嫌そうな表情で私を見ていた。

貧乏オーラ全開の私だ。この人とだけは、天地がひっくり返ってもあり得ないだろうな。

とても釣り合わないもの。


「ニュースです。お疲れさまです」


急いでスマホをバッグに仕舞い、大神さんの車に乗った。


「車のそばにいないから結構探したぞ。いつ誰が来るか分からないから、名前を呼ぶわけにいかないからな」

「それはすみません。私なりに気を遣った結果が、あの柱の陰だったんです」


そっか。だから少し機嫌が悪かったんだ。

でも、あからさまに目立つ訳にはいかないし。


「では、どこで待つのが正解なんでしょうか?」

「・・・次回からは指定する」

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