隣の部屋と格差社会。



「どう、すればいいでしょう。」


て、何をいってるんだろう。


はっとした。こんなこと、佐渡さんに聞いてどうするの。

困らせるだけなのに。

なのに、気づいたら口から溢れ出していて。


何でもない、と否定する前に佐渡さんが口を開いた。


「自分が行きたくないと思うかどうかだろ。行きたくないなら行かない方がいい。」


真っ直ぐに私の目を見て言った台詞は、胸に突き刺さった。


「そう、ですよね…。」


佐渡さんの言うことは正論だ。

でも。


行くなって言って欲しかっただけなの。

なんで、こんなことを思うんだろう。なんでこんな面倒臭いこと思ってるの、私。



「 何かあったら言えよ。」



佐渡さんは、優しい笑顔でそう言って部屋へと入っていった。


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