隣の部屋と格差社会。
お嬢様、玉砕。
初めての恋だった。
初めて人を好きになって、その人の隣に居たい、そう思った。
初めての恋は実らない、なんて迷信なんかじゃなかったらしい。
恋だと分かった瞬間に振られた。
『…ごめん。』
そう言った佐渡さんは、すごく困った顔していて。
せっかく迎えに来てくれたのに困らせるなんて。
あのあと、お互いに一言も言葉を発さないまま車はマンションの駐車場に着いてしまい、耐えきれなくなった私は一方的にお礼を言うと部屋に逃げ込んでしまった。
なんであんなこと言っちゃったんだろう。
正直、浮かれていた。
わざわざ迎えに来てくれるなんて、浮かれないはずがない。
佐渡さんにとって、特別な存在になれているんじゃないかなんてうぬぼれていた。
そんなこと、ないのに。
佐渡さんはただ、優しいだけ。困っている人を放っておけないだけなのに。