隣の部屋と格差社会。
ひとり動揺している私をよそに、煙草をふかしている佐渡さんは、役所で見たときと雰囲気が全然違う気がする。
セットしていた髪の毛は、お風呂上がりなのか少し濡れていてペタッとしている。
それに昼間はきっちりスーツを着こなしていたのに、今はTシャツにグレーのスウェット姿。
手摺に体重をかけ、少し気怠げに煙草をふかす姿は、役所でのあの姿勢の良い姿とは大違い。
しかも、佐渡さん意外と背が高い。
役所では座っていて分からなかったが、四捨五入すると170cmの割と大きめの私が見上げる程には高い。
それと、なんだろう。こう、雰囲気がさっきより柔らかい気がする
「あ!眼鏡だ。」
「眼鏡?」
しまった。思わず声に出てしまった。
「ああ、あれはパソコン用のブルーライトカット眼鏡だから仕事以外では掛けてないんだよ。」
視力は良い方なんだ、そう言って煙をくぐらす佐渡さんに、まだ何か違和感を感じる。