隣の部屋と格差社会。



「なんで菖蒲先生がここに居るの?」


きょとんとした顔で首を傾げてそう聞く恵美ちゃんは、どう見てもやっぱり恵美ちゃんだ。

え、ここって佐渡さんの部屋だよね?


「ここが先生のおうちなんだよ。」


混乱した頭で、なんとか恵美ちゃんの質問に答えると、恵美ちゃんの髪の毛に目が止まった。


耳下で髪の毛を束ねるのは、見覚えのあるヘアゴム。


チュール素材のボンボンがついたそれは、佐渡さんに頼まれて私が選んだものだ。


「恵美ちゃんはどうしてここに?」


恵美ちゃんは佐渡さんの部屋に居る。

その事実をようやく認めることが出来、もう思いっきって恵美ちゃんに聞いてみる。


想像もしてなかった出来事に、心臓はばくばくと激しく鳴り響き、頭は真っ白だ。


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