隣の部屋と格差社会。


そうだ、敬語じゃないんだ。


役所に居た時は堅いイメージが強かったけど、実はそうでもないのかもしれない。

意外とフレンドリーな人なのかな。


「昼間はありがとうございました。色々と親切に教えて下さって。」

「いや、うちも見つけるのが遅くなってすまない。整理券を取り忘れる人もたまにいるんだ。もっと気をつけないとな。」


まあ、主にじいさんばあさんだけど。そうポツリと溢した言葉は聞かなかったことにしよう。

あ、そういえば自己紹介まだだった。


「佐渡さん、でしたよね?私、櫻井 菖蒲(さくらい あやめ)と申します。昨日お隣に引っ越してきました。よろしくお願いします。」

「ああ、俺は佐渡 竜一(さわたり りゅういち)だ。よろしく。」


お互いに軽く頭を下げて挨拶し合う。


「私、世間知らずだからご迷惑をおかけするかもしれませんが…。」


知ってると思うけど。

でも、お隣さんには言っとかないと。本当に迷惑かけそうだ。


「そうか?」

「え?」

「世間知らずとまでは思わなかったから。」


そんなの、嘘だ。だって、


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