隣の部屋と格差社会。



「世話がやける子が隣に住み始めたって。」

「世話がやける子…。」

「生活力はないけど、いつも一生懸命でついつい助けてしまうんだって。
あんなに楽しそうに女の人の話をする竜一君見たの初めてだったな。」


嬉しそうに言うお母さんの前で、どんどん体温が上がっていく。

あの佐渡さんが、私のことを一生懸命だと言ってくれていた。楽しそうに話してくれたんだ。

生活力がないとも言われてはいるけど。

それでもなんだか嬉しくて。


でも、喜ぶ前に聞いておかなければならないことがある。


「あの。」

「ん?」

「佐渡さんと恵美ちゃんのお母さんの関係って、」

「あ、美奈子でいいわよ。今日は保育士と保護者としてじゃなくて女同士として話がしたいから。」


女同士…。その言葉に深い意味を感じて思わず身構えた。


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