隣の部屋と格差社会。
「竜一君とは高校からの同級生なの。」
「え、そうなんですか?」
「そうそう、死んだ主人の親友でもあって。あ、もしかして彼女と思って妬いちゃった?」
「そんなんじゃないです!」
意地悪に笑って言う恵美ちゃんのお母さん、もとい美奈子さんに思いっきり首を振って否定すると驚いた顔をされてしまう。
「好きじゃないの?竜一君のこと。」
「え?いや、そんなことは…。」
ないことはないけれど…。
「竜一君は優しいし、面倒見がいいし、男前でおすすめなんだけどな。」
なぜか必死に佐渡さんを勧めてくる美奈子さんに、もう誤魔化せない。
そう思って、ついに言ってしまった。