隣の部屋と格差社会。



例えば、空が前よりも綺麗に見えるようになった気がする。


前は気にも留めなかった真っ赤に燃える夕焼けも、ついつい見入ってしまったり。

今日も、公園のベンチでしばらく眺めてしまったところだ。


秋の香りがし始めた9月も終わりに近い今日は、お休みだったけど家で運動会の準備をしていて、いつのまにか1日も終わろうとしていた。


夕飯の買い物に出てみたら、外は結構肌寒くて、ああ夏も終わっちゃったんだなってなんとなく寂しくなる。


公園で散歩をしているおじいちゃんも、長袖を着込んでいる。

ついこの前まではランニング姿だったのにな。


最近、考え事の多い私はすっかりこの公園にお世話になっていて、よく散歩している人なんかは覚えてしまったほど。


おじいちゃんがいつも通り公園を3周するところを見届け、そろそろ帰ろうかと公園を出ようとすると。


「佐渡さん…。」


公園の出口に佇んでいたのはなんと、仕事帰りだろう佐渡さんだった。




< 168 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop