隣の部屋と格差社会。
「お仕事帰りですか?」
「あぁ。」
短い返事を返してくれた佐渡さんは、私が未だに出れずにいる公園の中へどんどんと入っていってしまった。
「お疲れ様です。」
背中を追いかけそう言うと、お疲れ、とまたも短く返す佐渡さんに今日はお休みだったことを言いそびれてしまった。
私がたまたま休みだっただけで、今日は平日。
スーツ姿に驚きはしないけど、何だか新鮮な気分になるのはなぜだろう。
あ、そうか。背広を着てるからだ。
最近は半袖のワイシャツ姿ばかり見てたから久しぶりの背広姿に見慣れないんだ。
やっぱり佐渡さんは、格好いいな。
なんて、その頼り甲斐がありそうな背中を見つめながら、一人勝手に惚れ直したりなんかしてる私。
夕陽の効果かな。なんだか今の私は、ロマンティックモードらしい。