隣の部屋と格差社会。
「佐渡さんが辛いと私も辛いんです。
だって、私佐渡さんのことが好きなんです。振られたって、好きなんです。
だから、佐渡さんは幸せを望んでください!」
一気に言って一息ついたとき、気がついた。
目の前の佐渡さんが、私の勢いに驚いていることを。
そして、また思ったことを全て口に出してしまったことを。心の中全てをさらけ出し過ぎてしまったことを。
気がついて、一気に体温が上昇し心臓が爆音を奏で始める。
私馬鹿だ。ここまで言うつもりなんてなかったのに。
「で、ではお先にっ…!」
佐渡さんの顔なんて見れないまま、くるりと反転して走り出した。
どうしよう、どうしよう。
私、何回『好き』って言っちゃったんだろう。
ばくばくと鳴り響く心臓を抑えながら、マンションへと一直線に走った。