隣の部屋と格差社会。
お隣さん、決着のとき。
「お、おはようございますっ…!」
どもり気味の彼女の挨拶におはよう、と返そうとする前に走り去られてしまった。
あの日以来、もう何日まともに目も合わせてないだろう。
確実に、避けられている。
当番次第で出勤時間が異なる彼女と、毎日通勤していたわけではないが、今日のように部屋を出るタイミングが合えば自然と2人で通勤していたはずが。
ここ数日は、俺の顔を見れば天敵から逃げるうさぎの如く一目散に走り去っていく。
このマンションから彼女の保育園の最寄り駅に着くまでの数十分。
たわいもない会話でも楽しかった。
それが出来なくなった今、ようやく取るに足らないと思っていたものがいつの間にか朝の活力になっていたことに気づいた。