隣の部屋と格差社会。
「あんなの日ごと累計と推移まとめてれば焦る必要ないだろ。」
「ほら。やっぱり考えてたのは来年度予算のじゃないでしょう。」
「うるせえな。そんなことより書類見せろよ。」
ほら、なんてしたり顔で言う高木にイラっと来て本題へ戻す。
「決裁お願いします。」
そう言ってようやく見せてきた起案は、国への交付金請求書類の訂正 。
こんな朝っぱらから持ち回ってるということは、よほど急ぎなんだろう。
「訂正?どこ間違ったんだ?」
「事業計画書の数字を間違えて。あと、公印押し忘れてました。」
割印はしたんですけどね、とまたへらへらする高木に呆れてため息が出る。
公印押し忘れるとかあり得ないだろ。
全く反省の色のない高木に、注意するのも面倒臭くて何も言わずに印鑑を押した。