隣の部屋と格差社会。
お嬢様、独り立ちを決意する。
「78番でお待ちの方ー。こちらへどうぞ。」
まただ。
また、私よりも遅く訪れた人たちがカウンターへと呼ばれていく。
なにか裏技でもあるのかな。
ここのソファに座って待つこと、かれこれ3時間。
どうすればいいのかと考えていると、綺麗なお姉さんがにこやかな笑顔を浮かべながら、こちらへとやって来て、ソファに座っている私と視線を合わせた。
「あの、整理券はお取りになりましたか?」
「はい?整理券って何ですか?」
綺麗なお姉さんは、その綺麗な顔に相応しくない苦い顔をした。
すぐに笑顔を作るけど、それも苦笑いだ。
整理券。そう言われてみれば、『整理券をお取りください。』という貼り紙がそこら中にある。
ああ。やってしまったかな。
所謂世間知らずの私は、普通の人なら知っていて当たり前の簡単なことさえ分からない。