隣の部屋と格差社会。
「はあぁ。」
「菖蒲先生。これで10回目ですよ、ため息。」
「え、ごめん…。」
思わず出てしまった海より深いんじゃないかと言うほどのため息に、目の前の晴日先生はあきれ顔だ。
今日は日曜日。一応休日だけど、発表会を1ヶ月後に控えた今、衣装作りで忙しい。
本当はまだそんなに急ぐ時期でもないけれど、私にとって初めての発表会。
裁縫も不得手な私に、晴日先生はうちのマンションに来てまで教えてくれている。
なのに、これがなかなか終わりが見えない。
「あ、また絡まった。」
「もうー、貸して下さい。」
「ごめん…。」
今日何回目になるか分からない糸の絡まり。