隣の部屋と格差社会。
「ありがとうございます。わざわざ下まで送ってもらって。」
「ううん、1日家に居たから外の空気吸いたくなっちゃって。こちらこそありがとうね。」
凝り固まった肩を回すと、ごりごりと音がしてしまった。
やっぱり慣れない作業は身体に堪える。
「あ、ミシンはまた来週にでも取りに来ますね。今日はなんだか持って帰るの面倒くさくて。」
「うん、分かった。」
「使ってもいいんですよ?」
「いや、一人じゃ使いこなせないから。」
にやにやとしている晴日先生を見ると、どうやら私は今、からかわれているらしい。
おたよりを作るために思い切ってパソコンを買ってしまい、ミシンを買う余裕がなかった私に自分のミシンを貸してくれた晴日先生は、女神様だったはずなのにいつの間にか小悪魔になってしまったみたいだ。