隣の部屋と格差社会。



「正直騙されてるんじゃないかって思ってたんですよ。」

「え?!」


何を言い出すの晴日先生。騙されてるって…。

私が佐渡さんに?!


「菖蒲先生って恋愛経験皆無だし。」

「うっ。」


いきなり痛いところを突かれて、思わず肩をすくめる。


「それに少しズレてるところあるから、もしかしたら軽そうな男に優しくされて騙されてるんじゃないかなって。
でも、お隣さん真面目そうな人で安心しました。」


心配してくれてたんだ…。


「晴日先生…。心配かけてごめんね。ありがとう。」

「なにか進展あったら1番に教えてくださいね。」

「うん、じゃあまた。」


小さくなっていく晴日先生の姿を見届けて、マンションへと足を踏み入れる。


マンションの玄関具は身震いをする程寒くて、早足で部屋へともどった。


自分の部屋の前に着き、扉を開こうとしたとき、



「あ、れ?」


隣の部屋の扉に、なぜか買い物袋を片手に提げたまま背を持たれる佐渡さんが立っていた。


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