隣の部屋と格差社会。
1日中母やお手伝いさんたちに監視され、外に一歩も出られない。
何度か脱出を試みたけど、どれも失敗に終わってしまった。
それどころか携帯も取り上げられて、誰とも連絡が取れない状態だ。
『婚姻届に印を押すまで家から出さん。』
そう言った父の目は本気だった。
多分、私が記入しない限り永遠に出さないつもりだ。
もう、ほとんど『軟禁』と言っても過言じゃないはずだ。
こんなのどう見たってやり過ぎ。
そう思うけど。
櫻木製薬の未来を考えると、間違ってはいないのかもしれない。
5日目になって、そう思い始めてきた自分がいる。