隣の部屋と格差社会。
「君はどこの大学出身なんだ?」
突然始まった父の不躾な質問。
私が父を止めようとする前に、『ーー大学経済学部を11年前に卒業しています』と佐渡さんはきちんと答えた。
「仕事はなにを?」
「区役所に勤めてます。」
「区役所 職員、か。」
まるで就職面接みたいな雰囲気についていけないでいる私は、2人だけの会話に口を挟みたいのに、それができない。
そんな質問を佐渡さんにする父の真意が分からない。
そんな父の質問に誠実に答える佐渡さんの真意が分からない。
2人は一体なにを考えているの?
この質疑応答のさきにはなにがあるの?
読めない2人の表情を、交互に見つめていると、父は佐渡さんに最後の質問をした。