隣の部屋と格差社会。
「お父さん、どういうこと?」
もう自分じゃあ理解しきれなくて、思い切って父に尋ねてみると、呆れたようにため息をつかれてしまう。
「菖蒲、聞いてなかったのか?佐渡君をお前の婿と認め、我が社に向かい入れると言ったんだ。」
「え?!」
む、婿?今、婿って言った?
そんな私を余所にまあ、使い物にならなかったらこの話はなくなるが。と心なしか機嫌よさげにそう言う父は冗談を言っているわけではなさそうだ。
「ちょっと待ってください、社長。」
次に切羽詰まった声を出したのは、長門さん。
「長門。私は、菖蒲を説得しろと言わなかったか?」
「…はい。」
「商談とは失敗を許されないものだ。」
私との結婚を商談って…。