隣の部屋と格差社会。
今日会ったばかりのただの隣人が、こんなに何回も、それも下らない用で訪れて。
普通に考えれば迷惑極まりない話だ。
ここまで付き合ってくれただけでも、途轍もなく有難い。
なんとお詫びすればいいのか。
でも、正しいお詫びの仕方なんて分からない私は、ただただない頭で考えをグルグルと巡らせている。
すると、
「入るぞ。」
「え?」
頭上から聞こえた声に驚いて、俯いていた顔を上げると、佐渡さんは既に私の部屋の扉を開けていた。
訳も分からないまま、慌ててその背中を追いかける。
結局、佐渡さんはあんなに渋っていた私の部屋へと入ってしまった。