隣の部屋と格差社会。
櫻木製薬。
そう聞けば、『ああ、あの胃薬で有名の製薬会社ね。』と大体の人がピンとくる。
それほど大きな製薬会社の社長、櫻木 歳三は正真正銘私の父だ。
櫻木歳三の一人娘。
所謂、令嬢。お嬢様。
何不自由なく暮らしてきた。
お金に困ったことはないし、欲しいものはすぐに手に入った。
でも、私が本当に欲しいものはお金では買えない。
私が欲しいもの。それは自由、だ。
親の敷いたレールの上を歩くのではなく、自分の足で歩いて行きたい。
自分の選んだ仕事をし、自分で稼ぎ自分で生活して行きたい。
そう望んで家を出た。
まさに、今この瞬間が自立への第一歩なのだ。
それなのに。