隣の部屋と格差社会。
最寄り駅を伝えると、ラッキーなことに佐渡さんと同じ路線らしく、一緒に電車に乗ってくれることになった。
ホームには、人、人、人。
まだ早い時間だって言うのに人で溢れかえっている。
待って。こんな数の人間が今から電車に乗るの?!
一度テレビで見たことのある、電車から人が溢れ出る様子が頭をよぎる。
インド、だったかな。
「電車の上とかに乗るんですか?」
「は?どこの国だ。」
佐渡さんが本気で呆れた声を出したとき、キラキラとした音楽とともに駅に電車がついた。
「これだ。馬鹿なこと言ってないで乗るぞ。」
はい、と返事をする暇もなく人混みに流されていつのまにやら電車の中に。
そして、あっという間に扉の前へと流され、扉と人とで挟まれた。