隣の部屋と格差社会。
「大丈夫、大丈夫。そんなに緊張しないで。」
いつの間にか隣に立っていた中尾先生は、明らかに緊張し過ぎている私を可笑しそうに笑って豪快に背中を叩いた。
「取り敢えず、私達だけでホールに向かいましょう。うちのクラスの子達は、パートの先生が連れてきてくれるから。」
「すみません。あの、ホールで何をするんですか?」
「決まってるじゃない。ここの全園児に菖蒲先生を紹介するのよ。」
「え?!全園児?」
全園児って、やまゆり保育園の園児全員?クラスの子だけじゃなくて?!
「延長保育や何やらで他のクラスの子達を見たりもするからね。大丈夫よ。さっきみたいに元気よく挨拶すれば。」
さっきみたいに…。
正直、緊張し過ぎていてさっきどういう風に挨拶したか全然わからない。