隣の部屋と格差社会。
やっと寝た。
寝つきが悪いという香奈美ちゃんをようやく寝かしつけ、周りを見渡すとみんなもう夢の中のようだ。
疲れた。やっとこれで半日か。
教室に静かに響くオルゴールの音につい眠くなってしまいそうになる。
「菖蒲先生、今のうちに連絡帳書こうか。」
「はい!」
思わず元気よくそう言うと、苦笑いした光代先生にしーっと制されてしまった。
しまった、みんな今寝付いたばかりだって言うのに。気をつけなくちゃ。
みんなのお布団から少し離れたところで連絡帳に連絡事項を記入していると、光代先生が柔らかい表情で口を開いた。
「菖蒲先生、みつる君なんだけど、あの子いつもは一人でちゃんとごはん食べられるの。」
「え?」
「でも、新しい先生や実習の先生が来ると甘えて食べさせてくれるのを待っちゃうのよ。」
そう、だったんだ…。
子供って、本当に頭がいい。色々なことをきちんと見ている。
「みつる君は少し放っておくと、割となんでも出来るから、必要以上に甘えてきたら上手く交わしてみて。」
「はい、分かりました。」
難しい。手を掛けてあげることばかりが、良いことだとは限らないから。
改めて噛み締めながら、連絡帳に一つ一つ丁寧に記入していった。