隣の部屋と格差社会。
「は?水が出ない?水道代はきちんと払
ったのか?」
土曜日の夕方、いきなり隣人に押しかけられてもきちんと対応してくれる親切な佐渡さんは、どこかに出かけていたのか、スーツともスウェットとも違う私服姿だ。
黒のカットソーにGパンというシンプルな格好だが、そのシンプルさが佐渡さんのスタイルの良さを際立たせている。
「水道、代?」
「払ってないのか…。催告状が来てただろ?」
「さい、こくじょう?」
久しぶりに分からない言葉を連発している佐渡さん。
「水道代払わないなら水止めるぞ、ていう公文書だよ。」
「なんか、区役所からいろんな手紙は届いてました。よくわからない内容だったけど。」
「それだな。」
「え!そんなすぐに止められるんですか?」
手厳しいな、区役所。
「ああ、うちの区は悪質な滞納者が多いから、猶予期間が他の自治体よりも極端に短いんだよ。納入期限過ぎたら割とすぐ止められるはずだ。」
「そんな…。」
一人暮らし初心者なんだから、お手柔らかにお願いしたかった。