隣の部屋と格差社会。
あいかちゃんのお母さんに話した内容は幸い、取るに足らないものではあった。
だけど、どんな話であってもこれは立派な個人情報の漏洩。
みつる君のお母さんが怒るのも当然だ。
信用してくれているからこそ、なによりも大事な自分のこどもを我が園に預けてくれているのに。
もっときちんと保護者の顔を覚えておかないといけなかった。
覚えていると思っていた。甘かった。
いや、それよりも昨日のうちにきちんとみつる君のお母さんに事情を話して謝っておけば良かった。
あいかちゃんのお母さんにも悪いことをしたけど、みつる君のお母さんにもそれ以上に悪いことをしたって言うのに。
今更後悔したってなにも変わらない。
それは痛いほど分かっているのに、ああすれば良かった、こうしておけば良かったが止まらない。