隣の部屋と格差社会。
「ええと、父だと思います。櫻木 歳三です。」
自信なく言うと、佐渡さんはパソコンの画面を見ながら大きく頷いた。
どうやら正解だったみたいだ。
「次に、お父様の生年月日は分かりますか?」
あ、お父さんって何年生まれだろう。誕生日は分かるけど、何年生まれかが分からない。
どうしよう。動きを止めて考えていると、またしても佐渡さんが助け船を出してくれる。
「ご年齢は分かられますか?」
「確か、今年で52です。」
そう言うと、佐渡さんは机の上に挟んである『年齢早見表』を見ながら教えてくれた。
「ですと、昭和39年ですね。」
「じゃあ、昭和39年5月3日です。」
頷いた佐渡さんを見ると、グダグダだったものの正解だったらしい。
そのあといくつか質問され、ようやく本人だと認めてもらい住民票が発行された。