隣の部屋と格差社会。



「お母さんに言われたこと、全部当てはまってるんです。」


『新人だからって甘えてるんじゃないの?』


それが、今日一番刺さった言葉だった。


新人だからミスをしても仕方ない、そんな風に思ったことは一度もない。


だけど。


次は気をつけよう、次は頑張ろう。そう思ってきた。


次なんて、ないことだってあるのに。


「でも、許してくれたんだろう。そのお母さん。」

「はい、一応は…。」


園長先生や主任先生の力あってこそだったけど。多分、私のことを本当には許してくれていない。


「まあ、どうあれ次はあるんだ。なら、結局次頑張るしかないだろ。」


相変わらず遠くの景色を眺めたまま、ひどく優しい声でそう言うので肩に入っていた力が一気に抜けた。



そうか。次はある、のか。


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