隣の部屋と格差社会。


絶対、今笑った。しかも、鼻で。


今まで、手続き関係は全てお父さんの秘書である武田さんがやってくれていた。


だから、本当に知らないことだらけで馬鹿なことばかり言っているのは分かってる。

けれど、そんなにあからさまに笑われたりするとやっぱり落ち込む。


でもここで落ち込んでもいられない。取り敢えずは、きちんと手続きしなきゃ。



「どうすればいいですか?」

「お引越し先は、区外でしょうか?」

「いえ!区内です。」

「区内でのお引越しということになりますと、ここの区役所で全て手続きできますので。」


新しい土地に自信のなかった私は、実家から離れてはいるが区内を引越し先にした。


もう少し距離を置いた方が良かったかと悩んでいたけど、なんだかこれで良かったらしい。


なんとか手続き出来そうで助かった。


安心したのも束の間、書き慣れない書類を次々に記入していく。


ちなみに、パスポートも住所変更手続きをとらなければならないらしい。


その後、佐渡さんは一度も真面目な態度を崩すことはなく、鼻で笑われたのも私の勘違いかなと思い始めていた。



そんかことを考えながら、結局その日は半日以上区役所で過ごしてしまった。


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