隣の部屋と格差社会。
「よ、喜んで!」
またとんでもなく大きな声が出てしまった。
でも、だってこれって。
「いいのか?」
「買い物くらい付き合いますよ。」
「交渉成立だな。準備出来たら言ってくれ。」
そう言ってエレベーターホールへと戻って行く佐渡さんの背中を見ながら立ち竦んでしまった。
だって、これって。
二人で休日にお買い物、なんて。
これって、『デート』てやつなんじゃない?
どうしよう。
胸が痛いくらいにドキドキしてきた。
佐渡さんと、デート…。
未だごみ捨て場に突っ立っている私を不思議そうに見ている佐渡さんに気づき、慌ててエレベーターへと飛び乗った。
二人っきりの空間に、心臓はフルスロットルで加速する。
エレベーターよ、早く着いて。いや、着かないで。