おきざりにした初恋の話

レンタルショップの外へ出る。

街中には、やたらとカップルが目立っていた。
いつもこのくらいの時間に帰るけれど、こんなにカップルだらけだっただろうか?

そう思って、今が学生達の冬休みだということを思い出した。
中学生も高校生も大学生も、私服で街をデートしているに違いない。
それに年末ということもあるので、社会人だって忘年会や送別会があるんだろう。
なら、人が多くて当然だ。


それにしても、これだけ賑わっていると、私1人だけなんだか惨めに思えてくる。
虚しさに拍車をかけるように、冷たい風に吹かれた髪の毛が顔にかかってボサボサになる。
朝どれだけ気合いを入れてゆるふわに巻いたって、この時間にはもうだらだら伸びてしまっているのだ。

せめて物理的に暖かくなってやろうと、少し先のコンビニを目指すことにした。
ホットのココアでも買って飲もう。

そうしてまた、家とは逆方向へと歩き出した。
やけに明るい街灯をなるべく見なくて済むように、空を見上げないように。

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