岡崎くんの恋愛塾
するとピタッと足音が止まる。

恐る恐る開けた目に写ったのは、音通り、岡崎泰正の足が止まっていた。


また聞こえたのは呆れたようなため息。



怖くて俯きながらもビクッと、肩が震えるのを感じた。



立ち上がった岡崎泰正は何も言わずに、椅子に腰掛ける。



「別にとって食うわけじゃねーし」


「っ⋯⋯」




チラリとソイツがいる方向に目を向けると、機嫌が悪そうな顔をしていた。
こんなのがモテるのか⋯⋯? 思わず疑問を抱く。



私の勘違い? 愛想いいって⋯⋯言われてなかったっけ?
それともこれがカッコイイとか? ⋯⋯怖い、だけなんですけど。




私のことを気にせずパタパタと汗をかいたのか暑そうに手で風を送っていた。
さっきの人たちから全力で逃げてきたんだよね。
⋯⋯朝に見たあの苦笑い。 あまり嬉しくなさそう。 いや、当たり前か。この人にもプライベートってもんがあるしな⋯。





岡崎泰正は外の様子を気にしている様子だった。
体操着のようにパタパタと軽く捲り、汗を吹き飛ばそうとする。


「⋯⋯!!」




⋯⋯くそう。 今まで男子避けてきたからお目にかからなかったけど⋯⋯。


なんで男子って服を捲って涼もうとすることでさえも恰好良く見えるの⋯⋯!
つかもう黒髪が綺麗すぎ⋯⋯、男子は黒髪がいい⋯⋯。


あの手とか何。 指細くて長い⋯⋯骨張ってるよ、私もあんな手になりたい⋯⋯。






ーーって、まて私。


私がこんなんだからあんなことになったんでしょうが!


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