岡崎くんの恋愛塾
三限、体育の授業。


二限が終わると制服をきた生徒が一斉に着替え始める。


ホント理解できないんだけど、なんでみんな教室で堂々と着替えるんだろう。



出席番号順で座っている席には運良く女子しかいないので男子の姿はないが、
ダメだ。やっぱ教室にはいられないー⋯⋯



私は一人で逃げるように教室を出て、一階の更衣室で体操服に着替えた。



スマホで佳奈に連絡をいれると、どうやらもう昇降口にいるらしい。


テニスだから⋯⋯中庭かな?



私は服を丁寧に畳み、急いで佳奈の所に向かった。


急いで体育の時には決まって履く履き慣れた運動靴を下駄箱から取り出す。


二年になって初めての外の種目。


つま先をトントンと地面に叩きつけ、履き替える仕上げを行った。



顔を上げるとスマホをいじる佳奈が昇降口の扉に寄りかかっていた。




「佳奈ー! ごめん、遅くなったっ」



あぁー、体力ないのキツイ⋯⋯。すぐに息あがっちゃう


はぁ、と息をつくと佳奈は笑顔で「全然平気」と答えた。





中庭へ向かおうとすると、私はなにか違和感を感じた。


昇降口から出て走っていく女子生徒、たぶん私たちと同じテニス。

そんな楽しみなのかな⋯⋯やけに嬉しそうに走り去ってゆく女子生徒が何人もいた。




「ねぇ、テニスだよね?あの人たち。 テニス⋯そんな人気だったっけ?」



もう一人、そしてもう一人と私たちを抜かして走ってゆく生徒が目立ってきたのに、どうやら佳奈も何か感じたらしい。

私はなんとなく佳奈に聞いてみたが、「人気ー? バドの方が人気だったはずだけど⋯」と不思議そうに応える。






「でもあたしも同じクラスの子が急いでるの見たよ。 佐伯先生が担当なんじゃない?」


「あー、佐伯先生か」



佐伯先生は校内では結構なイケメンと名高い体育教師。
どっちにしろ男の人だから真面目に嫌なんだけどね。 しかもまだ二十代前半だからやってらんない⋯⋯。



佐伯先生なら納得かな、と思った私はそれ以上変に思うこともなく中庭に向かって歩き続けた。
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