岡崎くんの恋愛塾
佳奈は心配した表情でコート端まで走って着いてくる。
自分が情けない⋯⋯。



仁科のことを見た佳奈は、私の行動に納得したようで軽く私の背中を叩いた。



「そうだよね、夏希はキツイなあれ」


「ご、ごめん⋯⋯」



佳奈には一応男子嫌い、苦手ということを伝えてある。 なんでそうなったかも全部。


酷いことされたとか、そういうんじゃないと思うけど⋯⋯元々男子慣れしてなかった私にはそれでもキツかったのかもしれない。



どっちにしたって家族以外の年が近い男子とは話せないもん。
なんか、怖い。



仁科海人が女子とハイタッチをしていく中、しばらくすると岡崎泰正が女子コートに近付いた。
男子コートを見ると、次のゲームが始まろうとしていた時だった。



女子コートに入らず、声を掛けた相手は仁科海人。



「海人ー、そろそろ戻ってくんねぇ?」



岡崎泰正は仁科海人と違ってサービス精神旺盛ってほどではない。
黄色い声を上げてわざわざ集まってくれる子にはそれなりに笑顔は返すくらいだった。


どちらかというと、ホント普通の男子高校生って感じ。





「そおー? みんなゴメンネー」


岡崎泰正が声をかけると仁科海人は素直に返事をして、女子に笑顔で手を振る。



残念そうな声を出す生徒もいたが、二人のゲームが始まるとそれは応援に変わった。



「夏希、そろそろ練習しようか」


「そうだね、ごめんごめん」



女子担当だけじゃなく、男子担当の先生の声もかかったところで女子の練習再開。




⋯⋯イケメンは顔だけじゃなく運動神経も必要なのか。

そんなことを考えてもまぁ男子が平気になるわけもないし。
仁科海人が女子好き、岡崎泰正がクラスの中心人物。



どっちにしろリア充には変わりねーな、うん。
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