岡崎くんの恋愛塾
東日高高等学校


県内で一番偏差値が高い、難関高校。
ここに私は見事合格をし、今まで通い続けている。



すでに入学から一年、そして一ヶ月が過ぎた五月の中旬。
高校二年になった私は通い慣れた通学路を一人、イヤホンを付けながら歩いていた。



耳に流れる英単語は受験生になる準備。
勉強をすると決めてから私は勉強ばかりで、静かに過ごす毎日。


大学も失敗しないように、頑張るしかない。




とはいっても、


「夏希っ」


「あっ、おはよう佳奈」


こんな静かな私にだってちゃんと高校を楽しむための仲がいい友達はいる。



小走りをして肩を叩いてきたこの子は、須藤佳奈子(すどう かなこ)。
この高校に入って初めて話した子で、初めてここで出来た友達。


親友だ。



黒い髪を軽くブリーチした焦げ茶色の髪をポニーテールに結ぶ彼女は、上品な顔をした可愛い子。


私と同じ人見知りで最初は大人しかったが、慣れると明るい性格だとわかった。
私と同じ。



イヤホンを耳から外し、背負った黒いリュックサックの中に突っ込んだ。



「珍しいね、今日は遅いじゃん」


「家でやりたいことがあったからね」


「へー。 このくらいの時間に来てくれたら一緒に行けるのにな」


「何言ってんの。 佳奈いつも朝練あるからダメじゃん」


えへへ、と笑う佳奈。

バスケ部の彼女は毎日朝練があるので、この時間にいるのは珍しい。


通学路を二人で他愛もない話をしていると、目的地、東日高高等学校が見えてきた。
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