レンタル彼氏 。
あれから、しばらくして真央はソファーで
寝てしまった。
゛レンタル彼氏 〟 って何なんだろう。
私はそばに落ちていた
契約書を広い眺めた。
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契約書
① 返品日は本日から1年後
② 決められた返品日までの
返品は不可とする。
③ 延長は不可。
返品方法は後日ご連絡いたします。
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下側には 印が押されていた。
わたしの承諾は無視なの !?
へ、返品は不可 ?
じゃあ真央はどこに寝るの ?
どこに帰るの ?
冷や汗が私の背中を伝う。
もしかして …… 同棲 ??
冗談で驚かせようとしていたんだと
信じたかった 。
それに……
こんなの、あいつに知られたら
誤解されちゃう …
私が契約書を持って悶々と悩んでいると
携帯が鳴った 。
ブーブーブー ブーブーブー
お母さん ……
私は床に落ちていた
スマホを拾い電話に出た。
「 はい、もしも
「ごめんね ~ 今日もお母さん、林さんの家に
お泊りに行くから、帰れないの 」
まただ。
お母さんは
私の言葉も待たずに電話を切った。
今日は何の日か 忘れてるんだろうな 。
お父さんと別れてここ1年はずっとそう。
帰ってきても2週間に一回、くらい。
お父さんが別れる時に私たちに
残してくれた大きな家で
私はいつもひとりぼっち 。
慣れたけど、やっぱり、寂しい 。
私は携帯電話を持ったまま、床に座り
目を閉じた。
いつも、こうやって自分の世界に入る。
泣きたくても
枯れ果ててしまった涙は
もう出ない 。
今日は、疲れた 。
そう思っていたら、そこで私の意識は
途絶えた 。