レンタル彼氏 。
今日は何の日
駅に着いた 。
「 はぁっ、はぁっ、どこ ? 」
辺りを見渡す 。
真央らしき人はいない。
駅の目の前の待ち合わせスポットの
時計台も、駅の改札も切符売り場にも、
どこにもいなかった。
やっぱり、帰っちゃったんだ 。
「 なんなのよ… もう 。」
私は電話を取り出し、
さっき真央からかかってきた番号にかけた。
プルルルル、プルルルル、
出ない …。
なんで出ないの…
嫌われた かな、
もう会えないのかな ?
あ、泣きそう 。
真央にもう会いないと思うと
何故か心が苦しかった 。
帰ろう。
1時間以上待たせたんだもん。
いるわけないよ ね。
私は家に帰ることにした。
ポタポタと落ちる涙。
バレないように、下を向く。
止まらない涙は躊躇なくメイクした私の
顔を濡らしていく。
そのとき …
ブーブーブーブー
電話がなった 。
真央 ?
私はすぐに電話に出た。
「 もしもし、 」
泣いてたのがばれないように、
明るく、
「 あ、ゆあ? 」
でも、それは真央からの着信ではなくて
私の好きな人、つまり涼太からだった。
「 あ、涼太 。どうしたの ? 」
「 いや、お前今日誕生日だろ?
おめでとう 。 」
そう。今日は私の誕生日。
今日くらいはお母さんも家にいてくれると
思ってたんだけどな 。
「 うん、ありがとう 」
そこから、たわいもない話を少しして
電話を切った。
いつもだったら電話がかかってきただけでも
舞い上がってるのに、
今日はそんな気になれなかった。
寒いなあ。
涼太との電話で止まっていた涙が
また、流れ出す。
嗚咽が漏れる。
誕生日、なのに1人。
去年も一昨年もひとりぼっち。
お母さんも 、お父さんも、真央も…
みんな私から離れていく。
今日も明日も明後日も、ずっと1人。
学校に行けば友達がいる。
でも家に帰ったら、
またひとりぼっちになるんだ。
私はとぼとぼと、泣きながら家に帰った 。