レンタル彼氏 。
「 離して欲しい? 」
こくこくと頷く。
多分私の顔は赤面している。
とても熱いから。
それが熱のせいか、真央のせいかは
分からないけど、
「 いいよ。 」
よかった……
ドキドキが伝わっちゃう。
とか思ってたら真央がとんでもないことを
言った。
「 お前からキスしてくれたらな 」
!?
「 む、無理だよ っ 」
好きな人いるって
知ってるし昨日も話ししたのに !!
「 じゃあ離さねえ 」
つかむ腕の力を少し強める。
「 好きな人いるって、 ゆったじゃん 」
ぽそり。と呟く。
「 知ってる。 涼太だろ? 」
分かってるくせに、何で……
「 でも、あいつ彼女いるだろ 」
そんなの、知ってるよ。
毎朝、毎朝彼女の話しを聞かされて
彼女のプレゼント選びも、
相談も、私だけにしてくれて、
嬉しくて、でも、切なくて苦しくて
なんで振り向いてくれないの?
何度もそう思った。
でも、幸せそうな涼太を見ると
好き、何て言えなくて、
今の関係を崩したくなくて、
「 …… っ 」
気ずけば泣いてた。
覆いかぶさっている状態の私。
涙は頬を伝わずに
真央の顔を濡らしていく。
ポタポタと、
「 俺なら泣かせない 」
そう言って真央は私の腕を引いた。
重なる唇。
触れるだけの唇はすぐに離れた。
真央とキスしたのは2回目。
「 うっ……うぇ…… 」
私の口から漏れるのは
吐息じゃなくて嗚咽。
真央は私の口をふさぐように
何度も啄むようにキスをした。
いつのまにか
私の腕を掴んでいた手は離されていて
真央の手は私の頭に回されていた。