ミチオ
ただ、また適当に休日を過ごした。


結局、写真を渡されたもののその意図は分からない。


でもマネージャーさんから色んな話は聞けた。


ミチオが注目されるようになったのはマネージャーさんが偶然見つけたミチオのインスタに興味を持ったから。


そこから先はあっという間だったってマネージャーさんが言う。


「私、見た目だけじゃなくて仕事も出来るいい女なのよ。」


どこからそんな自信が溢れてくるのか分からないけれど、確かにその通りだとは思う。


それからーーー、


ミチオが失踪した理由も教えてくれた。


「自分が特別だと思わないで。今後、満がさらに世に名を知らしめる為にも必要な事だと思うからあなたにも教えてあげるだけよ。」


マネージャーさんって言い方はこんなだけど結構、根は良い人なのかもしれないな。


ミチオの写真の特徴はなんでもない日常の風景。


その絵の中にはもちろんそこに住む人がいたり、退屈そうな猫がいたり。


けれどミチオが撮るとそのなんでもない日常の風景からは今にも人々の歌う声や笑い声が聴こえてきたり猫の甘えた鳴き声だったりが聞こえてきそうだった。


温かみのある素敵な写真だなって思った覚えがある。


その時はまさかミチオの様な人が撮ってるなんて思わなかったけど。


なのに…なんで失踪とか。


「前にね写真集の撮影の為に訪れた小さな街でね、出会った少女がいたのよ。」


「小さな街?」


「ええ、街と言ってもとても古めかしい場所。やたらと坂が多くておNEWのヒールだけは履いて行きたくないようなところよ。ああもう、場所はいいのよ。肝心なのはそこで出会った小さな女の子ね。満はその子を写真集とは別で撮ってたのよ。」


「写真集とは別で?」









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