ミチオ
ミチオはとてもスマートに道案内をしてくれたわ。
あっという間に見覚えのあるカレのアパートに着いた。
ドアの前まで来ると勢いよくバンッて開けようと思ってた。
ドラマとか小説みたいに「その女、誰よっ。」って言ってやろうと思ってた。
でもね、
ドアを開けることも、ヒステリックに叫ぶこともしなかった。
だってね、聞いちゃったから。
声をね。
やだ、違うって。
アレの声じゃないわ。
アレの声だったら寧ろ勢いよくバンッて開けてた。
ヒステリックに叫んで暴れてヒール振り回して…
でもね、止めた。
だってね、
子供の声がしたんだもん。
「パパ」って。
それでね、女の人の声も微かに聞こえきてーーー
楽しそうに笑ってた。
私が一度も聞いたことのないような、幸せでいて楽しそうな笑い声。
だから、もういいやって。
知れたから。
カレが幸せなんだなって知る事が出来たから。
それにね、
結局、私が浮気相手って事じゃん。
その事実が私の手を止めたんだ。
ドアを開けようとしたその手、を。
あっという間に見覚えのあるカレのアパートに着いた。
ドアの前まで来ると勢いよくバンッて開けようと思ってた。
ドラマとか小説みたいに「その女、誰よっ。」って言ってやろうと思ってた。
でもね、
ドアを開けることも、ヒステリックに叫ぶこともしなかった。
だってね、聞いちゃったから。
声をね。
やだ、違うって。
アレの声じゃないわ。
アレの声だったら寧ろ勢いよくバンッて開けてた。
ヒステリックに叫んで暴れてヒール振り回して…
でもね、止めた。
だってね、
子供の声がしたんだもん。
「パパ」って。
それでね、女の人の声も微かに聞こえきてーーー
楽しそうに笑ってた。
私が一度も聞いたことのないような、幸せでいて楽しそうな笑い声。
だから、もういいやって。
知れたから。
カレが幸せなんだなって知る事が出来たから。
それにね、
結局、私が浮気相手って事じゃん。
その事実が私の手を止めたんだ。
ドアを開けようとしたその手、を。