あの春、君と出逢ったこと



『佐藤君?』


『そーそ‼︎ 俺の事は快斗って呼んでくれよ?
俺も、栞莉でいいか?』



快斗君、ね。


快斗君は、煌君と違って、何というか……。



元気があって、パワフル? なのかな?




『快斗……困ってる』


溜息と共に、快斗君に煌君がそう言う。



『ご、ごめんな? 栞莉チャン』


『へ……⁇』



イキナリ謝る快斗君に、クエスチョンマークを浮かべる。



『困らせただろ? 俺、いつもこんなんだからさ。

周りに引かれるんだよね、初対面の時』


そう言って笑う快斗君に、思いっきり、頭を横に振る。




『私、困ってないよ?

快斗君、パワフルだなぁって思っただけだから』




私がそう言った途端に、快斗君の表情が笑顔に変わる。



『昼、一緒に食べようぜ?

せっかく仲良くなったんだからさ!』



満面の笑みでそう言った快斗君の言葉を聞き、翠に視線を向ける。


『栞莉が良いなら、私は良いわよ?』


そんな私に、栞莉が笑いながらそう言う。



『……じゃあ、一緒に食べよう⁇

多いほうが楽しいし』



結局、私の言葉で4人で食べることになった。



『俺、本気でびっくりしたんだよ。コイツに!』


美味しそうに卵焼きを頬張りながら、快斗君が煌君をさしてそう言う。



びっくりしたって、何がだろう?



『私もよ。

まさか、煌が教科書を見せるなんて、思わなかったわ』



快斗君の言いたいことが伝わったのか、続けて翠がそう言った。


……教科書?


『……煩えよ。常識だろ』



『お前は非常識人間だろうが!』



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