あの春、君と出逢ったこと
快斗君の言葉に頷いて、快斗君の腰掛けている石に腰掛ける。
『夜の学校とかプールって出そうだよね』
足をプラプラさせながら何気なく言った言葉に、いつまでたっても返してこない快斗君に不安になって横をチラッと見る。
『……快斗君?』
横を見ると、少しニヤリとしたような、口角をあげた表情で私を見ていた快斗君と目が合う。
『もしかして、栞莉チャンお化け苦手とか?』
いたずらな笑顔でそういった快斗君の言葉に思わず肩がビクッと反応する。
バレてる⁇
……いや、今ので絶対バレた!
『そんな訳ないよー』
誤魔化せるとは思っていなかったけど、とりあえず適当に笑顔を作って快斗君にそういう。
『やっぱ苦手なのか。
じゃあ、林間学校大変だな?』
そういった快斗君に、首をかしげてみせる。
林間学校が大変な理由がわからない。
まさか、わざわざお化けが沢山出るような山に泊まりに行く訳ないだろうし。
『もしかして、知らないのか?
林間学校の目玉行事と言ったら、肝試しだろ⁇』
『肝試し……⁉︎』
快斗君の言葉に、思わず立ち上がって叫んでしまい、慌てて両手で口をふさぐ。
だって、肝試しって!
それに、この学校林間学校なんてあるの……⁇
『どうしよう……』
立ち上がって、オロオロと同じ場所を行ったり来たりする私を見て、快斗君がまたまた爆弾を落とした。
『男女ペアは、くじ引きだし』
その言葉に、ずっと動いていた足が止まる。
……くじ、引き?
それに、何でわざわざ男女ペアなの!
『私、翠と組む!』
『それは実行委員として許せませんねー』