あの春、君と出逢ったこと
そんな私に目をつけた快斗君が、両手をあげたまま、私にそう叫ぶ。
……助けろって言われても、ねぇ?
まず、煌君が怒ってる意味もわかんないから、出来ないんだよね。
『じゃあ、とりあえず……花火やらない?
遅くなりすぎると、怒られそうだし』
何気なく見た携帯で、既に明日を迎えそうな時間だということを知って慌てて3人にそう言う。
お母さん、絶対心配してるだろうな。
置き手紙しなかったら、後が恐ろしかった。
『そうだなー。
俺も花火したい‼︎』
『そうね、花火、しましょうか』
『……ああ』
私の言葉を聞いて、頷いた3人が、それぞれ何かの準備を始める。
準備と言っても、煌君がバケツで、快斗君が火をつけただけなんだけどね⁇
『最初は、みんな一斉にな!』
そんな快斗君の言葉に頷き、4人で花火を持って火を囲む。
『行きまーす』
テンションが上がり、伸ばす言葉が多くなってきた快斗君の言葉で、一斉に花火に火をつける。
『お、俺1番!』
『……私もついたわ』
『私も〜!』
『俺も』
みんなの花火が一斉に着くと、結構大きい炎になって、光と音を立てて綺麗に燃え上がる。
離れた後、その場で花火を、上下左右に振り回してみる。
『ねーねー、翠‼︎ 名前が書けるよ?⁈』
そう叫んだ私の方を振り返った翠に、花火の光で名前を書いてみせる。
『誰かに当たらないようにしなさいよ⁇
快斗とか』
『翠チャン、それ、当たればいいのにって聞こえるのは俺だけ?』