あの春、君と出逢ったこと
『明日の林間学校、男2人、女2人の4人で1班‼︎
班決めはクジだからなー。
それと、部屋は男子と女子別で大部屋に別れるから!』
そう言いながら、小さめの段ボール箱を持ってみんなの席をまわる担任から、黒板に視線を移す。
林間学校
黒板にデカデカと白いチョークでそう書かれた文字を見て、自分の知っている林間学校をイメージする。
林間学校は初めてだし、学園もののドラマとかで見ただけだから分からないけど、バーベキューとかキャンプファイヤーして、締めは肝試し‼︎ みたいな感じだよね?
それに、肝試しは男女組でやるって、夏休みに快斗君が断言してたし。
実行委員だからと張り切っていた快斗君は、放課後遅くまで残って、珍しく真剣に、実行委員をまとめて細かく計画を立てているらしい。
そんなことを考えながら机に頬杖、窓の外をぼんやりと眺める。
『……い、おい夏川!』
『はい……⁉︎』
慌てて顔を上げると、眼の前で私に段ボール箱を差し出し、片手を腰当てている担任と目があう。
担任は、呆れたように私を見下ろしながら、私の名前を呼ぶ。
……いきなり呼ばれたせいで、声が変に裏返る。
どれだけボーッとしてたんんだろ⁇
全く気づかなかった。
無言で圧力をかけてくる先生に、怒られない様にサッとくじを引いて、中を確認する。
私は……2班か。
女子2人何だよね?
クラスの子達とは仲良くなってきたから誰でもいいけど、出来れば翠がいいなー……。
男子は断然煌君と快斗君!
男子とはあまり話した事ないんだよね。
……まぁ、この機会に仲良くなるのもいいけど、できるなら、いつもの四人でが良い。
『皆、クジ引いたな⁇
それじゃあ、各自で同じ番号の奴を見つけて班を組め』