あの春、君と出逢ったこと
ドカッと椅子に腰掛けながらそう言った担任の言葉に、皆一斉に席を立つ。
……とりあえず翠のところ行こっ。
周りに合わせてた立ち上がった私の手を、隣から伸びてきた手が捕まえる。
『ん? 煌君?』
『お前、何班⁇』
手を掴んだ張本人である煌君が、反対の手で、私の持っている紙を指しながら聞いてくる。
『私は2班だよ。煌君は?』
私が班を言うと、少しだけホッとした様な表情を浮かべた煌君が、自分の持っている紙をピラッと私の方に広げる。
『俺も2』
煌君の紙にも、私と同じ様に2班と書いてあって、それを見て私も一安心する。
とりあえず、煌君とは同じだから、大丈夫だね。
『翠のところ行くけど、行く?』
『ああ』
私の手を話した煌君にそう言って、2人で翠と快斗君のところに向かう。
『翠ー! 何班だった?』
駆け寄ってきた私を見て笑った翠が、紙を広げる。
『私は2よ。
因みに、快斗も』
そう言った翠に快斗君を見ると、同じように紙を広げて笑う快斗君と目が合う。
『栞莉チャンと煌は?』
快斗君の言葉に、同じ様に私も紙を広げて2人に見せながら笑う。
『私も2‼︎』
『……同じく』
隣で、煌君も2人に紙を見せる。
『いつもと同じメンバーか!』
『まぁ、これが安心するわ』
『林間学校、楽しみ‼︎』
『……面倒事起こすなよ、快斗』
翠の机に紙を広げて、囲みながら皆口々にそう言う。
最後の煌君の言葉に突っ込んだ快斗君を、煌君が冷めた目で返す。
林間学校、皆と同じで良かった。
いつもと変わらないメンバーだと、気も使わないでいいしね?
『班は決まったな?
それじゃあ、色々説明するから、各自席につけ』
担任の言葉に、自分の席へ戻る。
林間学校……初だからな〜。
皆と同じグループだし、楽しみ!