あの春、君と出逢ったこと








……全く気づかなかったや。


それにしても、私、翠とか煌君に呆れた顔で見られるの多いよね?


私、そんなに呆れる事してるのかな?



『今準備するから待って‼︎』


翠にそう言って慌ててカバンに荷物を詰め込む。

……そう言えば、明日林間学校だから宿題出されてないんだった。



そう思ってカバンの中身を机の中に戻す。


どうせなら、カバンは軽いほうが良いし‼︎


ほぼ空のカバンを肩にかけて、立ち上がると、椅子がガタッと音をたてた。


『行くわよ』


そう言った翠の隣に駆け寄り、教室を出る。




『明日の林間学校の肝試し、快斗君とペアなれたら良いね?』


いつもの仕返しで、口角を上げて翠をイジる。

そんな私の言葉に顔を赤くした翠が、照れているのを隠すために、顔を横にそらした。



照れてる翠なんて中々見れないから、本当にレア物!


『そう言う琹莉こそ、煌となれたら良いわね』



何かを思いついた顔でそう言った翠に、思わず首をかしげる。

……私、翠に煌君が好きなんて、絶対伝えてないよね⁉︎



なんで分かってるの?




『琹莉、あんた、分かりやすいわよ』



『えっ⁉︎』




まるで、全てお見通しとでも言うように、笑みを浮かべてそう言った翠に、目を見開く。


わかりやすいって事は、煌君にも快斗君にもばれてる可能性があるって事……だよね?



煌君の勘って、ものすごい鋭いし。
快斗君は、こういう事に敏感そうだし。



あからさまにため息をついた私の肩に手を乗せた翠が、私を見て悪戯な笑みを浮かべる。



『まぁ、安心しなさい。

快斗は気づいてるけど、煌は分かってないわ』




『それならよかった……じゃなくて‼︎』


快斗君にはバレてるの?

確かに、鋭いとは思うけど、もしかして、私って結構わかりやすいって事⁇




『夏祭りが終わった後から、琹莉明らかに変わったもの』




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