あの春、君と出逢ったこと
『やった! 翠の隣〜‼︎』
『少し落ち着きなさい、栞莉』
担任が教えてくれた順にバスの席に座る。
私は後ろから2番目の窓側の席で、その隣が翠。
『お菓子食いてー!』
『……お前も黙れ』
まぁ、あの笑を浮かべた担任が決めたからね。
仲良いメンバーでくっつけてくれたらしく、私達の前の席の2人が煌君と快斗君。
『煩くなるわね、この席』
私の隣で溜息をつきながら、翠がそう言ってねを閉じる。
『ちょ、翠寝ちゃうのー?』
『ええ。
体力の温存よ』
『煌、お前も寝るのか!?』
翠の返事を聞いた瞬間、前の席でそう快斗君が叫ぶ。
……煌君も寝るのか。
ここでさすが双子って言ったら、きっと怒るんだろうな。
『快斗君、私達も寝る?』
『勿体無いけど……寝るしかないよなー』
渋々というように笑った快斗君に笑い返して、翠の隣で私も目を閉じる。
……起きたら、だいたいお昼くらいにはついてるって事だよね?
その間、体力温存して、肝試しに備えよ。
揺れるバスに身をまかせながら、既に寝ていた翠と同じように私も目を閉じていった。